アイスティーが飲み終わった頃、ファミレスの入り口のほうで声が聞こえた。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
「ちょっと人と待ち合わせてて。探してもいいですか?」
その声に私はドクンッと反応した。
確認するように席から顔を出すと、なぜかそこには先生の姿が。
……え、ま、待って。な、なんで?
私はとりあえず姿勢を極限まで低くして、通路側から見えないようにメニューでわざと目隠しをした。
この席はわりと死角だし、先生がそのまま気づかずに通りすぎてくれる可能性は十分にある。
けれどそんなことが先生に通用するわけもなくて、その足が私の席で止まると先生はひょいっとメニューを取り上げた。
「……なんで……来たんですか」
顔を上げない代わりに、自分から声を発した。
「なんでじゃねーよ。11時だぞ。補導される前に保護しにきてやったんだろうが」
チラッと横目で見た先生の顔はどこか不機嫌だった。先生の息は上がってないからきっと車を走らせてきたのだと思う。
先生に会いたくなかったくせに、先生に会えて嬉しいという気持ちがじわじわと胸を熱くする。
先生はため息をつきながら、私の前に座った。
すぐにタバコを取り出したけれど、ここが禁煙席だと分かり再びポケットに戻す。
正面に座っている先生の顔を直視できない。
私は普段、先生とどうやって話していたっけ?
先生を意識してることと、先生の顔を見たのが久しぶりすぎて、すっかり話すことが下手くそになっていた。



