そのあと数学準備室にあったものをすべて廊下に出して、床の汚れも隅々まで雑巾で拭き終わった。
「よし、じゃあワックスかけるぞ」
先生がどこかからプラスチックのバケツを持ってきた。中にはもちろんワックスが入っていて、これをモップに付けて床に塗っていくそうだ。
「ほら、マスクとゴム手袋。念のために一応しといて」
「はい」
私はマスクをして両手に少しサイズの大きいゴム手袋を装着した。
バケツの中にモップを沈めて、私はワックスを塗りはじめる。木目に沿ってモップを動かしているけれど、持ち手が長いせいか扱いが難しい。
「乾く前に踏むなよ。足跡つくから」
「これってどのくらいで乾くものなんですか?」
「今日みたいに晴れた日なら一時間くらいかな」
「そうなんですね。私、右側の床からやるので先生は反対からお願いします」
「りょーかい」
先生は何回も経験しているのかすごく手際がよかった。
私も最初は手間取っていたけれど、だんだんと慣れてきてなんだか楽しくなってきた。
ワックス掛けなんて滅多にできないし、モップをかけるたびに輝いていく床が気持ちいい。調子に乗って鼻唄まじりに作業をしていると……。
「おい」
先生に呼び止められた。



