先生と17歳のあいだ




たしかに補習を受けに来ている生徒の大半の髪の毛はガチガチに固められて、屋外でもないのにタオルを乗せている人もいる。



「夏休みだからみんな髪の毛染めてるんだよ」

「そうなの?」

「私も染めたかったけど、補習もあるし今回は諦めたよ」



どうやら毛質が不自然だったのは黒染めのスプレーをしてるからだそうだ。

教師によっては補習を受けさせないというペナルティをする人もいるらしいし、違反者がいないか風紀の先生も定期的に見回りにくるようだ。



そんな中で、教室のドアがガラッと開く。



「はいはい。補習はじめるぞー」


それは、一番違反をしてるんじゃないかと思うほど、派手なTシャツを着た郁巳先生だった。



教壇に立った先生とすぐに目が合った。


先生は本当に来たんだ、と言わんばかりの表情をしていた。


やっぱり補習を自主的に受けにきているのは私だけのようで、教室で浮いていることは否(いな)めない。




「ねえ、いくみん聞いてよー。私昨日彼氏に浮気されてさ」

「いくみん、俺の貸した漫画いつ貸してくれんの?」

「かき氷食べたい。いくみん海いこー」



あちらこちらで先生を呼ぶ声。先生の人気はもちろん夏休みでも変わらないらしい。




「あーうるさい。分かったからとりあえず教科書開いて。昨日の続きから」


先生はみんなの声を受け流して、黒板に数式を書きはじめた。