「やめてください。人の顔に光を当ててはいけないって学校で習わなかったんですか?」
「当ててない。横切らせてるだけだし」
「ああいえばこう言うんですね」
「だって光のスピードって宇宙で一番速いんだよ。話しかけるよりこうして光で知らせたほうが効率いいと思って」
きっと先生はプライベートのことを私が深く聞く前に話を逸らそうとしてる。
大人はいつもそう。都合が悪くなるとそうやってすぐ……。
「ほら乳酸菌」
先生は私にコップを差し出した。
「……カルピスと言ってください」
そう言い返しながらも私は素直に飲み物を受けとる。私だけに作ってくれたと思いきや、先生も同じカルピスを飲んでいた。
「先生でもジュースとか飲むんですね」
私の中ではすでにブラックコーヒーかお酒しか飲まないというイメージがついてしまっている。
「大人になったからって子供の味を忘れるわけじゃねーよ」
先生は私よりも早くカルピスを飲み干した。



