先生と17歳のあいだ





「だってほら、可愛いサンダルが置いてある」



指をさしていたのは、私のものだった。


サンダルは数年前に安く買ったもので、女の人が履いているヒールが高い靴とは全然違う。

汚れてるし、子供みたいな花がついてるし、多分それを含めての可愛いという皮肉にも聞こえた。



「何歳の子?っていうか今何人と遊んでるの?」


私が知らない学校以外の先生。聞きたくないのに、無条件に言葉は耳に届いてきてしまう。



「あんまり頑張ると身体に悪いよ」


「はいはい。分かったから。じゃあな」


「絶対にあとで埋め合わせしてよね!」


バタンと遮断するように閉まった玄関のドア。先生は鍵をかけてリビングに戻ってきた。



「盗み聞き?」


本当はカメでも見てるふりをしようと思ったのに、私の身体は不自然に壁にくっついたままだった。



「……盗み聞きしなくても聞こえます」

「ああ、あいつ声でかいからな」


先生は平然と私の横を通りすぎていく。


女の人が急に訪ねてきても、会話を聞かれても、あわや私と鉢合わせしたとしても、先生は特に動揺したりしない。


その冷静さが、少し寂しかった。