その反動で身体が大きくバランスを崩す。
黄色組の選手が真横に並んだ。
嫌だ。ここで転べない。
私は縺(もつ)れる足を必死で前に出して、スライディングするようにしてテープを切った。
タイミングは、黄色組と同じだった。
「……っ」
私はゴールしたあと盛大に身体を地面を打ち付けた。けれど、今は大切なのはどっちが先にゴールテープを切ったのか。
グラウンドのアナウンスは……。
「二年一組 赤 一位」
その瞬間、クラスメイトたちが一斉に跳び跳ねた。
「的井さん、大丈夫……!?」
心配した城田さんがすぐに駆け寄ってきてくれた。
「ううん、ダメ。痛い」
そう言いながらも、私は笑う。
力が抜けてしまったせいで地面から立ち上がることができない。
すると、ふわりと風に乗って私の好きな匂いがした。