ポジションの問題かもしれないけど、カゴに入らなかった玉が私の頭にどんどん当たってくる。
……たしか玉入れの玉って、お手玉と同じような素材が入ってるんじゃなかったっけ?
地味に痛いし、固いし、自分が投げたものはカゴに入らなくて散々。そんな中で、私が拾おうとした玉を先に誰かに拾われてしまった。
「下手くそ」
「……え?」
私の身体はスローモーションのように止まる。
玉入れの赤よりも濃い赤色のTシャツに、だぼっとしたスウェット生地のズボン。そして空色のスニーカーと、弛く結ばれた紐が瞳に映った。
「せ、先生?」
そう呼びかけた瞬間に「しー」と郁巳先生は人差し指を口に当てる。
先生は素早くいくつもの玉を空へと投げて、それらはすべて綺麗にカゴの中へと入っていった。



