先生と17歳のあいだ





同級生との付き合いも儘(まま)ならない私は、もちろん年上の人と接した経験が浅くて、先生の言動や仕草はすべて新しかった。


タバコを吸う横顔もそうだし、車に乗ってることも、お酒を飲むことも、なんでも見透かしているような瞳も全部ぜんぶ、惹き付けられる。


だから先生は近くて、遠い。

私には手の届かない大人の人。 




「……先輩も年上の人に憧れたりしますか?」


「尊敬できる人はいても憧れはあんまりないかな。むしろ男は少ないんじゃない?どっちかっていうと年下好きのほうが多い気がするし」


「と、年下って何歳くらいまで……」


聞いたあとで、私はすぐに我に返った。



今のは違う。というか、先輩に対しての質問じゃない。



また心がグラグラと揺れてる。

ケヤキを揺らす薫風(くんぷう)よりも。



「……もしかして、年上の人に恋でもしてるの?」


「し、してません!してないです……っ!」


私は大袈裟なくらい必死で否定した。