「いくみんは本当に煽てるのがうまいよね。みんなの心を掴むポイントを分かってるっていうかさ」
「うん」
計算というよりは天性だと思う。
だから魅力があるし目を惹き付ける。
私は応援よりも先生のことをどこかで探していて、色の少ない校舎では色の多い先生をすぐに発見できるのに、今日はカラフルな横断幕がそれを邪魔している。
「さっき先生、救護テントいたよ。まあ、手当ては係の人に任せて自分は涼んでるって感じだったけど」
「そ、そうなんだ」
私の心を読んだみたいに城田さんが先生の居場所を教えてくれたから、すごく動揺してしまった。
……救護テント、か。ちょっとここからじゃ遠い。
ピィィと、ホイッスルが鳴り響くと綱引きが一斉に始まった。
グラウンドに舞う土埃。右へ左へ行ったり来たりする30メートルの綱。
私も綱引きに参加できたらよかった。
それで、膝でも擦りむいたら救護テントに行ける理由になるだろうかと考えている私は……ちょっと直射日光に当たりすぎたのかもしれない。



