シタイカクシ


朝食を食べ部屋に戻り荷物を確認し、玄関に向かう。

「行ってきます」
母と父に聴こえるくらいの声を出す。 台所の方から、「いってらっしゃい」と母の声が、かすかに聞こえた。


外に出ると目の前を通り過ぎていく和樹がいた。

「ねぇ、待って」
和樹に声を掛け小走りで駆け寄る。

「美沙か、おはよ」
和樹は美沙に気づいた。美沙の歩幅に合わせ、眠そうに欠伸をする。

「眠そうだね」


「あぁ、昨日のシタイカクシの事で寝れなくて」

「結局、止めに行ったりしてないよね?」
不良生徒達を止めにいって和樹が怪我をしたら…。



「止めようと思って、夕飯食べた後見に行ったらもう帰ろうとしてたから」

結局注意はしなかった様だ。美沙は安堵する。