シタイカクシ

「美沙は出すの?」
深雪は美沙に問う。

「私は、そんなに上手くないから。出さなくていいかな」

美沙はスマホで過去の受賞者達の絵をスライドさせながら見せる。

「でも、これ審査員美大の先生もいるって。過去の大賞ではないけど入賞には川の絵とかその町にある有名な建物だけのもあるし、何か一つに絞れば上手に描けるんじゃないか?」

和樹が珍しく真面目に話す。

「うん、私もそう思う。美沙一度始めたら最後まで丁寧に仕上げるし」

深雪も和樹の意見に同意し美沙にコンクールに参加するのを進める。


「いや、私達が住んでいるところで何かそれって言う物なくない?」
美沙が出したくない理由はこれもその一つだ。