12月24日。

クリスマスイブ。

世間一般では、恋人や家族、友達と過ごす人も多い中。



「いらっしゃいませ~!ケーキいかがでしょうか~!」



私はバイト先のケーキ屋さんで、ケーキを売っている。サンタの恰好をして。


友達は「彼氏作らなきゃ!」と今日は合コンしているらしいが、私は正直どうでもいい。

「クリスマスに働くとか、虚しいじゃん!」とか言われたけど、全然虚しくない。マジで。強がりとかじゃなくて。

だって、こういう時働くと「クリスマスなのに悪いねぇ~」とか言って、お給料弾んでもらえたりするし、売れ残りのケーキもらって家で食べれるし(それは多分ケーキ屋でバイトしている人だけだと思う)、サンタの恰好…軽いコスプレ(?)できて楽しいし。

いいとこだらけだ。


要するに、私はクリスマスバイト、めちゃめちゃエンジョイしてます!ということ。



「いらっしゃいませ~!」

「いらっしゃいませ。ご注文は?」



私と一緒にケーキを売っているのは、同じくバイトで、しかも、学校は違うけど同じ学年の栗栖(くりす)くん。

…ものすごくイケメンだから、女性客の方がメロメロになっている。

彼女さんとか、いそうだけど。

…って、アレ?



「何でクリスマスなのにバイトしてるの?彼女さんは?いいの?」



バイト先の栗栖くんには、確か、彼女さんがいるらしいけど。いそうっていうか、いるらしいけど。



「え…?彼女…?いないけど…」



え、でも、前に言ってたし…。

まさか…



「…別れたの?」



緊張気味に私は聞いた。



「別れるも何も…。元からいないよ?」

「え、この前お客さん(?)っていうか同級生の人…?に、『彼女いる』って言ってたから…」

「あぁ、あれ、聞かれてたんだ…」

「?聞いてたよ?」



だって、同じ時間にシフトに入ってて、しかも隣にいたからね。

おかげで同級生の(?)ギャル達に睨まれたけど。