理人を追いかける私を、お母さんが止めた。

「由乃!ここにいなさい。」

「いやよ!理人!理人!!」

廊下を引きずられた理人は、私に向かって手を伸ばしていた。

「由乃!由乃!!」

お父さんの力が強いのか、理人はあっという間に、玄関に連れていかれた。


「理人!」

「由乃!!」

手を伸ばし合う二人を、お父さんとお母さんが、引き裂き合う。

「早く来い!理人!」

お父さんが、理人を連れて行ってしまう。

「理人!」

私はお母さんの手を、振り払った。


「私、ずっと理人の事好きだから!」

「由乃、止めなさい。」

再びお母さんの腕が、私を止める。

「由乃!」

お父さんに引っ張られて、外に出た理人が、玄関にしがみつく。

「由乃!俺もずっと好きでいるから!」

「理人!」