「由乃。」

そんな私を、理人が抱きしめてくれた。

「親父。俺、親父やお袋に、許して貰おうなんて、思っていない。」

「何!?」

「由乃が側にいてくれる。それだけでいい。それ以外は、何もいらないんだ!」

「理人……」

お父さん、顔が白くなっている。

「……愛しているんだ、由乃の事。」


強く抱きしめてくれる理人。

私もだよ。

私も愛している。

理人の腕の中で、私は涙を流した。


「もういい!理人、来い!」

お父さんは、理人の首根っこを掴んで、階段から無理やり降ろし始めた。

「どこに連れて行くの!」

私も急いで、階段を降りた。

「理人は、俺の実家に預ける!」

お父さんの言葉に、頭が真っ白になった。

「そんな!止めて、お父さん!」


理人と離れて暮らすなんて!

もう、耐えられないのに!