30話「夢が叶った日」






 恐る恐る見た日本のニュースサイト。
 たった1つのサイトだけだったけど、千春はそれ以上は秋文のニュースを見れなかった。

 そのページには、モデルの女性のSNSで「寂しいから追いかけてスペインに来ちゃいました。」という投稿があった事がきっかけだったそうだ。
 もともと秋文とは噂があったところに、彼女の行動が恋人のようだった事から、ニュースになっているようだ。
 そして、それに対して秋文は何も答えてないようだった。スペインチームが取材に応じないというのも書かれてあった。



 出や立夏から連絡もあり心配してくれていた。「大丈夫だよ。」と簡単に連絡しながらも、頭の中は秋文の事ばかりだった。
 そして、秋文から別れの連絡が来るのが怖かった。彼なら次にどんなメッセージが来るのか。
 あの報道は嘘だよと言ってくれるのか。それとも「新しい彼女なんだ。」と紹介されてしまうのか。
 信じたい気持ちよりも、秋文が離れていくのが怖くなり、千春は秋文の連絡先をブロックしてしまった。







 『お疲れ様、世良さん。仕事終わりそう?』
 『塚本さん、お疲れ様です。すぐ終わらせますね。』
 『いいよ。待ってるから。』


 千春は仕事帰りによく塚本と食事に行くようになっていた。
 塚本に告白された後、気を使ってくれており職場の人達と数人で食事に誘ってくれた。
 それからしばらくすると、2人だけでも行くようになってきたのだった。