ビロードの背中

彼は、キッチンで冷たくなったコーヒーを一気に飲んだ。



私だって分かる。

彼が私を部屋へ誘ったのは、私を愛しているとか、

恋人にしたいとか、そんな理由ではない事くらい。


私とは、いわゆる大人の遊びがしたかっただけ。

年上のお姉さんと、刺激の強い遊びがしたかっただけ。

ここでヴァージンのお相手なんて、考えても見なかった事。


「・・・私、帰る。」