「……ったく。阿呆が。
 そんなにもらって欲しいならもらってやるから。
 ただ、、もっと大事にするんだ。」

「今がいいです。」

「ダメだ。」

「どうしてですか。」

「どうしてもだ。」

「だって、高宮課長、離れてっちゃうじゃないですか。」

 自分で言って悲しくなって涙が溢れた。

 好きだって気づいた途端に失恋だった。
『みー』って人のことを忘れられない高宮課長に私の恋心なんて惨敗で。

 せめて覚えていない高宮課長にそういうことがあったんだって後ろめたい気持ちにさせて、少しの間だけでもって……。

 頭をかく高宮課長が流れる涙を拭ってくれた。

「本当に馬鹿だろ。
 体で繋ぎ止めて何になる。
 大丈夫だから。全部、話せよ。
 偽りの関係なんていらない。」

 最後の一文に力が込められていて、嘘をついたことに怒っているのがよく分かった。
 バレてしまった以上、話すしかない。

 私はおずおずと口を開いた。