「お前のは恋じゃない。」

「どうしてそんなこと………。」

「寂しいところへたまたま俺が馬鹿な行動したせいで勘違いしてるだけだ。」

 そんな、ひどい。
 そう思うのに言い返せなかった。

 普通とは違う始まりで自分の気持ちを証明できるものが何もない。

「それでどうしてリハビリってことになるんですか?」

「俺が出来る責任の取り方。
 内田がこのマンションを出る頃に次のいい恋が出来るように。」

「別れる前提で付き合うってことですか?」

「まぁ、そういうことかな。」

 どこが誠実なの?愛梨さん!!
 文句を言いたい気持ちを思い留めて手を差し出した。

「手、繋いでください。」

 溜息を吐いた高宮課長が私の手に自分のそれを重ねた。

 ゴツゴツしてる大きな大人の男の人の手。

「手、小さいな。」

 優しく握られて、胸がどうしようもなく鼓動を速める。