内田は俺へ断りを入れて伊織ところへ遊びに行った。

 愛梨さんに相談というか、話してもいいですか?って俺へ言うところが律儀というか、なんというか。

 案の定、伊織から電話がかかってきた。

『お前んところのお姫様がうちに来てるぞ。』

「俺んとこのって……。」

『だってそうだろ?
 住まわせるようにしたのだって……。』

「そんなんじゃない。」

『だってお前、藤花ちゃんのこと……。』

「俺が何か言える立場じゃないだろ。」

『そんなことないだろ?
 お前は全部1人で背追い込み過ぎなんだよ。
 それだけ……大切なんだろ?
 藤花ちゃんのこと。』

「そんなんじゃ、ないさ。」

『ったく。素直じゃねぇなぁ。』

 小言を言われて電話は切れた。

 俺が、何か言える立場じゃないだろ。
 だいたいこんな弱ってるところへつけ込むような真似………。

 溜息を吐いて天井を仰ぎ見る。
 頭に浮かぶのは恥ずかしそうな内田の顔と、白く柔らかな感触がリアルに蘇る。

「………ッ。
 だから、中学生の次は高校生かって。」

 顔に腕を置いて溜息を吐いた。
 それでも頭の中の映像は消えてくれなかった。