もう一度、目が覚めてみても、夢だったなんて現実にはなっていなかった。

 恥ずかしそうな顔をさせて布団に包まるのはあろうことか内田で、お互いに何も身につけていない。

 何を弁解したらいいのか……。
 なんとなくキスをしたことは薄っすらと記憶にある。

 あれが夢じゃなかったということで、つまりはそういうことだ。

 動揺している俺へ思いもよらない言葉を掛けられた。

「責任取って下さい。
 身代わりでもいいんです。」

「………は?」

 百歩譲って最初の一文はまだ理解できる。
 その次はなんだ。

 理解できずにいると内田は続けた。

「私、恋人に浮気されたんです。
 結婚の約束をしてたのに。」

「あぁ。」

 突然の打ち明け話に戸惑いながらも話を聞いた。

「婚約してたのに破棄されて、会社にも居づらくて。」

「あぁ。」

「高宮課長とこんなことになったら、もっと会社に居づらくなっちゃいます。
 責任取ってください!」

 どう答えていいのか、言葉に困ってまじまじと内田を見つめた。
 俺の視線から逃れるように目を逸らした恥ずかしそうな内田を見て、ドクンと胸が騒がしくなった。