いつも冷静な高宮課長の、胸を締め付けるような「上手く、笑えない」という言葉に、苦しそうな表情に、そして触れた温もりに。
 抗うことが出来なくて近づいてくる唇に唇を触れ合わせた。

 一度離された唇はもう一度触れて、今度は深く情熱的に重ねられた。
 崩れてしまいそうな体を支えるように高宮課長にしがみつく。

「部屋……行こう。」

 囁かれて頷くと2人でよろめきながら立ち上がる。
 その間もキスをして、手すりにつかまりながら2階へ上がった。

 何かが壊れてしまったんだと思う。
 開けられた扉の内側に入ると扉は閉められた。

 救いたいのか救われたいのか、ただ熱に浮かされてしまったのか。
 凍える体は熱を求めるようにきつく抱きついてキスをした。

 2人でベッドへなだれ込むと布団にくるまってまたキスをする。
 手に、頬に、唇に。
 首すじに、耳に、頭に、そして全身に。

 お互いを確かめるようにキスをして甘い吐息を漏らしていく。
 体に腕を回して消えてしまいそうな高宮課長を捕まえる。

 どうしよう。
 私、高宮課長が好きだ。

 降って湧いた感情が胸を締め付けた。