どういう流れでそうなったのか。
誰かに聞かれても上手く説明できる自信がない。
私はメゾネットタイプのマンションへと足を踏み入れていた。
「俺は内田のことを詮索しない。
だから内田も俺のことは大きな置物とでも思うんだな。」
部屋を一通り案内してくれた高宮課長が最後に私の部屋として使えばいいと通してくれた2階の部屋にはベッドが備え付けられていた。
実家の自分の部屋を思い出すような6畳でベッドと机を置くとほとんどいっぱいになってしまうような部屋。
「伊織がまだ独身だった頃に泊まりに来ることもあって、ここはその時の部屋さ。
後でシーツをセットしておく。
その間に風呂へ入っておくんだな。」
一人で暮らすには広いマンション。
そのマンションは似ても似つかないのに、心の中の映像とシンクロして胸をギュッと握られた気がした。

