高宮課長は眉を吊り上げて腕組みをしていた。

「そう言うのなら、内田は街頭アンケートの戦力として実際に出向いてもらおう。
 ナマの声を聞いて、さぞいい企画書が上がるんだろうな。」

 踵を返して高宮課長は自分のデスクへと向かっていく。
 叱られたりはしなかったけれど、声のトーンには恐ろしさを感じた。

 周りからは、もはや憐れみの視線を向けられてデスクに突っ伏した。

 厳しい高宮課長だ。
 街頭アンケートを取りに行っても他の仕事を減らしてくれるわけもない。

 自分の思い描く理想の仕事を口にしたばっかりに、ただ自分の仕事を増やす結果になってしまった。

 ううん。
 これでいいんだ。これで。

 高宮課長が本当にそういうつもりで私をプロジェクトメンバーに引き入れたかは定かじゃないけれど。

 忙しさで忘れてしまえばいいんだ。

 何もかもを全部。