取り皿にもう一度、白和えを盛って、改めて口に入れた。
まさか私が作ったと知ってからも食べてくれるとは思わなくてドキドキと鼓動が早くなる。
「……どう、ですか?
愛梨さんが作ったから美味しいはずだっていう先入観が無くなった今。」
まじまじと高宮課長の顔を見つめると本当に整っているのが嫌でも分かった。
切れ長の双眼が優しく微笑みでもしたら、きっと誰でもイチコロなのに。
……本人はそんなこと望んでないか。
トラウマの元となるチョコをプレゼントされたりするくらいなんだから。
「うまいよ。
作り方のコツを教えて欲しいくらいだ。」
「それは………。」
簡単ですよ。手間を惜しまずお豆腐の水切りと裏ごし、あとは隠し味のお味噌です。
そう言おうとした私の発言を妨げて愛梨さんが小悪魔発言をした。
「コツは内緒。
また食べたかったら藤花ちゃんに作ってもらいましょう。
隠し味は愛情をたっぷり。
ね、藤花ちゃん。」

