溜息を吐いて「まぁいい。その2人にも変なこと言いふらすなって言っとけ」と諦めの境地に達したような高宮課長は自室へ行くようだった。

 その後ろ姿を見るともなく見送る。

 私が与えられた部屋は2階の一室。
 すぐ隣が主寝室らしい。

 個室はその二部屋だけ。
 その二部屋の反対側は吹き抜けで下の階がよく見えた。

「ここでは下を覗き込まないでくれよ?」

 と、初日にわざわざ言われたっけ。
 彼の中で私は飛び降りキャラなのかな。

 1階は階段を挟んでダイニングキッチンとリビング。
 1階はどこにいても吹き抜けが開放的だ。

 天井のシーリングファンや、吹き抜けに吊された照明がお洒落なアクセントになっているのに掃除はどうやってするんだろうって庶民的な考えが過るから私には縁のないインテリア。

 そんなところに仮にでも住まわせてもらっているのだから人生って分からない。