お昼からは同期の真美ちゃん、佳乃ちゃんとランチを食べることを約束していて、その旨を高宮課長にも伝えた。

「時間は気にしなくていい。
 ゆっくりしてこいよ。
 伊織は別の機会でもいい。」

「いえ。そんな。私も菊池さんご夫婦にきちんとお礼を言いたいです。」

「そうか。分かった。
 同期の真由ちゃんだったか佳子ちゃんだったかには余計なこと話すなよ。」

 釘を刺されて訂正する。

「真美ちゃんに佳乃ちゃんです。
 それに2人にはもう話しちゃってます。
 高宮課長が離婚されてて私の弱味につけこんで寂しい家に気を紛らわす為に置いてくれてるって。」

「おいっ!全体的にかなりの語弊があるだろ!」

 心の中であっかんべーをして日頃の恨みを晴らす。
 弱味を握ったのは私も一緒だ。

 同じ課の人達に言ったら大騒ぎになりそう。
 何かあったら「いいんですか?みなさんに話しちゃいますよ?」って言えるよね!?

 なんだか最強の武器を手に入れた気分で気持ちは弾んだ。