大切に思われていることは高宮課長からも伝わってきた。
 ただ、思ってもみなかった高宮課長の気持ちに自分がついていけなかっただけ。

 私は意を決して高宮課長の部屋のドアをノックした。

「何?」

 ぶっきらぼうな声が聞こえて躊躇する。

 しばらく突っ立っているとドアが小さく開いた。

「何?……俺も、、悪かったよ。
 気持ちを言えばって幻想を抱いてて甘い夢を見てたみたいだ。」

 バツが悪そうに言われて大きな子どもみたいに思えた。

「高宮課長も拗ねたりするんですね。」

「は?」

 目を見開いた高宮課長に見下ろさせて、何故だか愛おしく思った。

「あの、一緒にお昼寝を……。」

「……ッ。昼寝、だけ?」

「はい……。」

「まぁ、いいけど。」

 招き入れられた部屋は前に一度入った時と変わらない。
 あの時の事が思い出されて、急に恥ずかしくなった。