しばらくして電話があった。
 それは伊織課長からだった。

『クククッ。ごめん。笑えちゃって。』

 楽しそうな伊織課長に溜息しか出ない。

『ごめ。今日、藤花ちゃんに気持ちを伝えるって聞いてたから邪魔しちゃ悪いかなって思ったんだけど、結果が気になって、俊哉にさっき電話したんだ。
 電話に出るから驚いたんだけど、話してみてもっと驚いたよ。』

 終始楽しそうな伊織課長はからかいたくて電話して来たのかな。
 とてもじゃないけど、同じ気持ちでは到底楽しめない。

「あの、すみません。
 私、今、色々と高宮課長から聞いて気持ちの整理がつかなくて。」

『あぁ。うん。ごめん。
 でも、おかしくて。
 あいつずっと藤花ちゃんのこと好きだったから焦ったんだろうね。』

「ずっと、って……。」

『藤花ちゃんの入社当時から可愛い子が入って来たって俊哉が言ってきて。
 驚いたのなんのって。』

 そんな話を伊織課長としてたなんて……。