顔が近づいて来て、慌てて両手で押し返す。

「なんだよ。感動するところだろ?」

「ま、待ってください。
 好きって言ってくれたのは、すごくときめいたんですけど。」

 ごにょごにょ言う私に悪い笑いを浮かべて再び顔を近づけようとする。

「それならいいだろ?」

「よくないです!
 最後の一文はなんですか?
 だって、私達はお互いに失敗した身で。」

 溜息を吐いた高宮課長がおでこに頭をグリグリさせた。

「痛い!痛いです!!」

「阿保が。だからだろ。
 俺はダラダラ付き合うつもりはないし、結婚するまで待つこともしない。」

 再び覆い被さろうとする高宮課長を押し返す。

「ちょっと待ってくださいってば!!」

「なんだよ。まだ何かあるのか。」