「彼女と同じならあいつのところへ、またあいつに奪われるんじゃないかって。
 藤花だけは失いたくなかった。」

「だって、私は身代わりで……。
 それに復讐したい相手……。」

「だから。違うって。
 彼女は料理も家事全般がダメで結婚なんてしていいのかって俺も途中、ナーバスになった時期がある。
 喧嘩も増えたけど一度決めた結婚だって俺は意固地になってた。
 今思えばそもそもが彼女とは無理だった。」

「それなら、どうして、、。
 間違えて呼んだりなんて………。」

「だから、それは、悪かった。
 呼び名はただの呼称で、俺の中で深い意味はなくて。
 あの日、求めていたのは紛れもなく藤花だ。」

 本当に?
 高宮課長の心がどこにあるのか、つかめない。

「じゃどうしてリハビリだなんて……。」

「酔った勢いで手を出した俺が言えることじゃないんだが、、。
 藤花には一時の気の迷いなんかじゃなく、ちゃんと幸せになって欲しかった。
 その相手は俺じゃない気がしてた。」

「そんなこと!そんなことありません。」

 力強く反論すると目を細めた高宮課長が頷いた。