「私を『みー』だなんて呼んで、間違えてキスしたくせに!」

「だから、それは。」

「それはなんですか?
 美咲さんに似てるから可愛いって思ってくださったんですよね?
 身代わりでもいいって言ったじゃないですか。
 なんなら私のことは『みー』って呼んでくれても構わないです。
 身代わりでもなんでも側にいられるなら!!」

 悲痛な声はみっともなくて、高宮課長に抱き締められると声を殺して泣いた。
 身代わりでいいって言ったのは自分なのに、悲しくて虚しかった。

「代わりなんていない。」

 静かに言った高宮課長の声が胸を抉った。
 高宮課長の中で美咲さん以上の人はいないんだ。

 そう思うと余計に涙があふれて止まらない。

「だから勘違いするなって。
 藤花も、他の誰だって代わりはいない。
 藤花は藤花だ。」

 藤花と呼ばれて胸が熱くなる。