「すみませんでした。
　勝手に奥様に逃げられた、なんて想像してて。」

「いや。その時はそう思わせておけば、ここに住んでくれるって俺もずるい考えだった。」

　ずるいだなんて、そんなことない。
　私は高宮課長に救ってもらったんだから。

　例え高宮課長が私に復讐がしたかっただけだとしても。
　結果的に私は救われている。
　そこは感謝しなくちゃ。

　私は聞かなきゃいけないことを自ら質問した。

「でも、どうして私をここに住まわせてくれたんですか？」

「それは………。」

　言葉を詰まらせる高宮課長が話してくれるまで待った。

　私に嘘じゃないと証明する為に戸籍まで用意してくれて。
　高宮課長が誠実なのは本当だと思う。

「何から話せばいいのか。
　順を追って説明するのがいいだろうな。」

　一呼吸置いて高宮課長は話し始めた。
　それは当初聞いて欲しいと言われていた『みー』という女性との話。