促されてリビングへ移動する。
 ソファに座ると高宮課長もいつも座る辺りへと腰を下ろした。

「これを。」

 封筒を渡されて目を丸くする。
 それは市役所の封筒だった。

「これは?」

「期待通りの書類が手に入らなくて落胆したが、、。
 まぁいい。見てくれ。説明する。」

 恐る恐る書類を封筒の中から出してみる。
 書類には『戸籍抄本』と書かれていた。

「戸籍??」

 高宮俊哉と書かれた書類は、ご両親の名前や長男であること、出生日なんかが書かれている。

 これが、、どういう、、。

「ここ。」

 指差されたところは何も書かれていない。

「離婚するとここに『離婚』の文字が入るらしい。」

「……はぁ。」

「この書類くらいしか俺に離婚歴がないことを証明する手段が……何がおかしい。」

 まさか最初に話されることがこんな内容だとは思わなくてクスクスと笑いが漏れた。
 しかもあの高宮課長が必死に説明しようとしてくれる姿がなんだかおかしかった。