平日は変わらず忙しかった。
 そのせいで話をすることはおろか、マンションで顔を合わせることもなかった。

 首元の赤い印も日に日に薄れていき、食事の度にひと舐めされた異様な儀式も無くなった。

 週末になると、土日のどちらかで話してくれるのかなぁとなんだか緊張する。

 けれど今日も遅そうな高宮課長を心配しつつ、自分は先に眠ることにした。

 目が覚めると高宮課長は起きていて下に降りて行くと出迎えられた。

「おはようございます。」

「あぁ。おはよ。」

 食事の用意がされていて、いつもすごいなぁと感心と感謝の気持ちを浮かべつつ、有り難くいただくことにする。

「話。」

「え、えぇ。」

 神妙な面持ちの高宮課長に胸がドクンと騒がしくなる。

「食べ終えたら聞いてくれるか?」

「えぇ。はい。」

 予告されてご飯の味が分からなくなってしまった。