「いいからこれ着て。
 良かったよ。
 休み明けだからロッカーに置いておくブラウスを持ってきてて。」

「えー。これ、首回りがキツそう。
 丸首のシャツの方が好き。」

「とやかく言ってないで着替えて!!!」

 目を吊り上げた佳乃ちゃんにおののいて急いでブラウスに着替え始めた。
 着替えながら佳乃ちゃんの変愛講座を聞くことになった。

「いい?キスマークってご存知?」

「キスマーク?
 やだなぁ。
 そのくらい私だって知ってるよ。
 赤くなるやつでしょ?」

「そう。じゃそれは?」

 指差された場所をもう一度鏡で確認する。
 そう言われると赤くてなんだか艶かしい。

「うそ、でしょ?」

 思わず唾を飲み込んでマジマジと鏡を凝視する。

「詳細はお昼に説明して!
 今は遅刻しちゃうから。
 とにかく急ぐ!!」

 急かされて着替えを済ませた。

 頭の中は混乱して嵐が吹き荒れていた。
 キスマークって、何がどうして???