「半笑い……あとは失笑。
 そんなのばっかり!」

「藤花ちゃん!そんなことより!!
 首のそれは何?」

「それって、どれ?」

「もー!!!
 首に虫刺されみたいなのだよ!」

「虫刺され?ヤダ〜どれ?」

 トイレの大きな鏡に差された場所が見えるように身を屈める。

 確かに小さく赤く変色している。
 ちょうどそこはいつも高宮課長がひと舐めするところ。

「もしかして……毒?
 毒を盛られてる??」

「もう!そうじゃないでしょ!
 清く正しく生きてきたんでしょうけど、今回ばっかりはそれが裏目に出てる。」

「ちょっと何?何?」

 佳乃ちゃんのお怒りが全くつかめなくて、きっとその私の態度が佳乃ちゃんへ油を注いでいる。