上司との同居は婚約破棄から


 助けられた構図なのに、本当に助けられたのか、こっちに行く方が地獄なんじゃ……そんなことを思ってしまった。

「阿保。あんなダメな男に引っかかって。
 会いに行くなんて言うから………。」

「言うからなんですか?
 あそこにいたってことはついて来たんですか?」

 どうして怖い高宮課長への方が強気で聞けるのか、自分自身も分からない。
 たぶん理不尽な思いが爆発しているせいだ。

 今、説教するくらいなら最初から止めてくれればいいのに。

 お門違いな怒りがふつふつと湧いて、助けられて助かったはずだし、それに今は怖い高宮課長に逆戻りしたはずなのに、怒りがおさまらない。

「ったく。八つ当たりだろ。それ。
 後で後悔するから、やめとけ。」

「だって。だって。」

 気持ちが落ち着かない。
 高宮課長はつかんでいた手を離した。

 引っ張られていた体は自由になってその場で立ち止まる。