混浴なんてもちろん出来なくて時間差で済ませたお風呂。
 浴衣に着替えて隣同士の布団へ入った。

 あんなことを勢いで二度もしたくせに恥ずかしくて背中を向けて横になる。

「藤花。」

「は、はいっ。」

 何を言われるのかドキドキしていると穏やかな声がした。

「いつか。俺の話も聞いてくれるか。」

 俺の……話。
 それは『みー』という人の話。

「はい。私で良ければ。」

 きっと聞くのはつらい。

 けれど愛梨さんが言っていた。
 誰にも泣き言1つ言わなかったって。

 だから私へ、もし話してくれるのなら、それで高宮課長の心が少しでも軽くなるのなら。

 どんなにつらい話になろうとも私は聞きたい。そう思った。