「まあまあ。落ち着いて下さいよ。はい、青葉さん。スペシャルブレンドです」
「わあ、ありがとうございます!」
とびきりの笑顔をマスターにみせる青葉。
そういう顔はフツウ好きな男である僕に向けるべきでは?
やっぱり人間は理解不能だ。
にしても
怒ったり、笑ったり、忙しいやつめ。
「彼がカップルを多く誕生させたってのは、事実ですよ。私がこの目で見てきましたからね」
また余計なことを言いやがって。
話を続けてどうする。
「本当なんだ……」
マスターの言葉はあっさり信じるんだな。
僕のこと初めて見たときは疑い深い目を向けてきたのに。
「でも、全然女心わかってないよイズモくん」
「それでいいんですよ」
「え?」
「彼は男の深層心理を利用してアドバイスしますから。わかるのは男心でいい。そうですよね? イズモくん」
ベラベラと人の頭の中バラすなよオッサン。
イズモくん言うな。


