女の子からデートに誘われて悪い気のする男なんてそういない。


彼女がいて気を使ったり、よほど嫌いな相手だったり、予定が立てこんでいるなら別だけど。


一度くらいならこの子にも十分に可能性はあるだろう。

そのためのアプローチやプランなら売ってやるし。


そこで思い出のひとつや二つ作ってやるさ。


だけど、芸人みたいだし。

色気ないし。

この子と、いい雰囲気にするには

……力使わないと厳しいだろうな。


一千万と言ったのはそう言う意味だ。

僕は極力、この力を使いたくない。


僕の中で使っていい相手は心の汚れた人間だったり、使わなきゃ自分が危ないときだったり。


そうやってセーブしなきゃすぐに力尽きちゃうだろうし。


この力は簡単に誰かの人生を変えられる。


はした金で好き勝手利用させたくはないものだね。


「デートまでこぎつけたい?」

「も、もちろんです!」


さっきまでハードル高いって言ってたの誰かな。

ノセやすい子だなー。


「毎週末誘われたり行きたくもない場所に連れて行かれるのは勘弁してって思うだろうからねえ。最初の一回に全力尽くそう。そのためにも彼の好みを正確に把握する必要があるらよ」

「相手を知らないことには始まらないと」

「そうさ。やっとまともなこと言えたね」