気づけた?

一体、なにに?


いいや、

青葉がなにに気づこうが、どうでもいい。


「リョウとは、これまでの関係が一番だった。求められたとき……ちがうって思った」


リョウにベッドに押し倒されたんだよね。

それでキスされそうになったとき

君が拒絶したんでしょ、知ってるよ。


見てたから。


「その話、僕が聞く意味ある?」

「あれからずっと。あることで頭がいっぱいなの」


へえ。もう新しい恋、見つけたのか。

気の多い女だな。


「依頼して帰る?」

「好き」

「は?」

「わたし、イズモくんが好きみたい、なんだけど……。この片想いは叶うのかな」


カウンターの中に戻っていたマスターが声を殺して笑っているのがわかった。


「勿論お金とかじゃなくて。気持ちでぶつかってもいいかな」


嗚呼、

これだから人間は意味がわからない。