「あなたが噂の『縁結びくん』?」


真っ白なセーラー服を着ている少女は、初対面にして疑いの目を向けてくる。


まあ、僕に会う連中は皆

最初はこんな顔をしていることが多い。


中には悩み事を忘れて僕を欲しがる子も現れたりするけど。


そこまでバカになれなんて言わないからさ。


これから頼み事をするんだったら

せめて、もう少し愛想よくすればいーのにね。


「誰が言い出したのかなんて知らないけど、僕が誕生させたカップルの数を考えれば神様扱いされても不思議ではないだろうね」


ただし、僕は神様じゃないよ。

どちらかというと真逆の存在なんじゃないかな。


神様がこの世を創造するものだとしたら。

僕の特技は奪うこと、だから。


「やっぱりそうなんだ。路地裏の、地下一階にある昔ながらの喫茶店『紅(くれない)』一番奥の席に座る男の子からアドバイスをもらえば、恋が実るって聞いたの」