「『あなたもそういうんですか』ってのさ。つまり、君が先生を好きなことは、一部ないし特定の人間にはバレてるんだ?」

「……!」


目を見開く少女を見て確信した。

はあ。

ややこしくなるから、第三者は介入させるわけにはいかないな。


「誰にバレてる?」

「……仲のいい、友達に」

「何人?」

「二人、です」

「だったらその倍の四人には知られてると思った方がいい。そしてその話はのちに広がっていく」

「え?」

「女の子は、噂話が大好きだからねえ。先生にバレるのは時間の問題かな」


それは困るという表情を浮かべた少女。


「だからまず、恋を叶えたいなら友達にこう言うんだ。『もう先生への気持ちは冷めちゃった』ってね。なんなら適当に他の男子の名前でも出して信じ込ませればいい」

「でも……、先生が好きなのに。他の人が好きなんて嘘つくのは……」

「わかってる? 君は禁断の恋を始めようとしているんだ。覚悟、決めなよ」