「そんなの、今の望みを優先させる方がいいに決まってる。明日死ぬかもしれない人生なのに、未来のためになにかするなんてバカげていると思わないか?」

「あなたがそれを言いますか」

「はは」

「あの子の期待を大きく膨らませ。やがて迎える絶望に食らいつくのでしょう?」

「当たり前のこと聞かないでよね。僕にとってこんな紙切れ、なんの価値もない。いつも通り君にあげるよ」


封筒をテーブルの上に置き、立ち上がる。


「ありがとうございます、ぼっちゃん」

「その時がきたら、育てた果実を摘む。それだけのハナシさ」