「青葉」

「なに?」

「僕も聞いていいかな」

「うん。なんでも聞いて!」

「大きな声でいうのはちょっと」

「えー。なになに?」


不思議そうな顔をする青葉の耳に

口を近づけ、そっと囁く。


「いつになったらキスの先させてくれるの」

「へっ……」

「そんなときも。イズモくんって僕を呼ぶの?」

「や……だ、イズモくん」


青葉の顔が茹でだこみたいになる。


「はは」

「もう!」

「あー。かわいい」

「え……」

「かわいいなあ。君」

「なん……か、イズモくん、が、甘い」

「一生僕だけを愛してって命令しちゃおうかな」

「い、言われなくてもその予定だよ?」


釣った魚には

エサをやらないのが当たり前だったのに。


宝物は手に入れた途端に価値がなくなる

そんな僕の中にあった持論が、あっさりと覆されてしまった。


それに


青葉を可愛がるくらいなら寝てたいなんて考えも

まあ、もうないわけで。


「へえ。じゃあ裏切ったら容赦なく力使うね」

「なんか……イズモくん、感じ変わったね?」

「誰のせいだと思ってるの」

「……?」


君に決まってるだろ、青葉。