両親に報告して、私達家族は……

笑顔でこのお家を後にした。

ありがとう。

ここは今日でお別れだけど……

唯にも………尋ちゃんやお父さん達の胸の中にも

沢山の想い出があるからね。

今度は……

また、新しい家族に沢山の想い出を作ってあげてね。

心の中で呟いて

そっと………さよならをした。


「もう良い?」

優しく見守る先生の車に乗って

これから………唯のお家になるマンションへと帰る。

今日からホントに………あそこが唯のお家になるんだなぁ。

去年の忘年会の後で手紙を出した時には………

想像すら出来なかった未来。

でも………

洋介さんやお兄さんが教えてくれた

『出会った頃から、ここに向かって……悠人はずっと頑張ってきた。』って言葉。

唯にとっては、ホンの一年の出来事だけど……

先生は……

もっともっと前から、唯を見守って幸せに導いてくれてたんだよね。

「先生………ありがとう。」

ハンドルを握る左手を離して、唯の手の上に乗せてくれた。

温かい。

この手を繋いでたら………きっと素敵な未来が待ってるね。