「ごめん!」 「えっ、拓也ま…。」 逃げるように走りさっていってしまった。 抱きしめておいて、置き去りにしないでよ…。 ただ呆然と立ちつくす。 いまの…夢じゃないよね? そう疑ってしまう心に 胸のドキドキと腕に残る鈍い痛みが、ウソじゃないと証明してくれる。 思考回路がうまく回らない頭で、自分に起きた出来事を、ボンヤリと振り返る。 拓也、あたしと離れるの“寂しい”って言ってくれたよね…。