芽以は逸人の手許を凝視してみた。

 最初はよく見えなくても、だんだん焦点が合ってくることがあるからだ。

 あの配色。

 見覚えがある、と芽以はその広告っぽい紙を見つめる。

 すると、気配を感じたように、逸人が顔を上げた。

 慌てて隠れる。

 よく考えたら、何故、隠れているのかわからないのだが。

「芽以?」

「あっ、はいっ」
とお呼びでしょうか、ご主人様、とばかりに走っていくと、逸人はその広告をテーブルの上に一度伏せた。

「なにしてるんだ? お茶でも飲むか?」

 はっ、はいっ、と返事しながら、その広告を見る。

 裏面にも印刷してあったので、わかった。

 やっぱり土地の広告だーっ。

 ずっと気になっていたのだ。

 逸人が最初に宣言していたことが――。