早坂と一緒にいたのは、以前に彼を亜矢たちの部署に連れてきた人や、そのまた上司のように見えた。

—あの人、今来たばかりなのかな…。

そう言えば、歓迎会の最初の時には早坂はいなかった。島田美香や、他の亜矢の女性同僚たちは早坂の話を聞こうとしていたのだが、肩透かしを食らってしまった。




亜矢の同僚たちだけではない。きっと他の人々も早坂に興味があったはずだが、それをサラリと交わしてしまったのだ。

「あ、あの人じゃない? 早坂さん」

ようやく彼の存在に気がついた亜矢の同僚たちはざわめいた。

「あ、今来たのね」

「忙しかったのかな」

「でも、歓迎会でしょ。仕事で忙しいってことはないよね」

亜矢の同僚たちは不思議そうに彼が上司たちと立ち話をしているのを見ている。でも、あえて近づこうとはしない。

それはそうだ、早坂は上司たちと何かを熱心に話している。




もしかしたら、と亜矢は思った。

あの人はわざと遅れて来たのじゃないだろうか。何故かはわからないけども、人々と話をすることを避けている。

自分の存在を目立たせたくないのかしら、なぜ?




亜矢は気になり始めた。