ん、まぶしい…

東京本社への初出勤。

エレベーターが上昇し始めると、朝日がガラス越しに差して、亜矢は目をこする。

さすがに本社だもんね、22階建てのビルなんだ…。



エレベーターの中には5、6人の社員が乗っていたが、誰も目をこすったりしていない。みな、当たり前のような顔をしてシャキッと背筋を伸ばして立っている。



それを見て亜矢もスッキリ目覚める気がした。よし、がんばるぞ。



「茅原(かやはら)亜矢さんですか?」

立っていたうちの一人の女性が言った。24歳の亜矢より、一つ二つ歳上に見える。背格好は亜矢と同じくらい、ハキハキした声で、優しい笑顔の人だ。

「はい、そうです」

「やっぱり! 茅原さんが来られる部署の島田美香と言います。よろしく」

島田美香がコクリと頭を下げると、亜矢もあわててお辞儀した。